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2016年度 学位授与式を開催しました

2017年03月13日

3月11日、大勢の保護者、ご来賓、教職員が見守る中「2016年度 学位授与式」がおこなわれ、それぞれの夢を叶えた卒業生が清泉女学院から旅立ってゆきました。

学長式辞

 卒業生の皆さん、おめでとうございます。ご多忙の中、ご列席いただきましたご来賓の皆さまと、ここに集う本学教職員一同とともに、心よりお祝いを申し上げます。

 今日は、3月11日です。式辞を述べるにあたり、6年前の3月11日の地震を津波、翌日に起こった長野県北部地震、福島第一原発メルトダウンによる爆発などを思いおこし、皆さんとともに、短い沈黙の祈りの時間をとりたいと思います。

ありがとうございました。

 今年、アメリカ・アカデミー賞候補作に「Hidden Figures」という映画がありました。NASAで大量の計算をこなしたアフリカ系アメリカ人女性数学者たちを描いた作品です。いまでこそ、ジョン・グレンがアメリカ人として初めて地球を回ることに成功したのは彼女たちの正確な計算があたからこそと言われます。しかし、1950年代彼女たちは「カラード・コンピュータ」と呼ばれ、白人の同僚たちから隔離されたオフィスで働き、論文に自分の名前を載せることさえ許されていなかったのです。そんな人種とジェンダーの壁をキャサリン・ジョンソンのような才能に満ちた女性たちが打ち壊していきました。壁が崩れるにはとても長い時を要しました。彼女たちの名前と業績が広く知られるようになったのは、21世紀になってからのことです。他にも世界中に、たくさんの女性たちの活躍の隠された物語があるのです。そして、残念ながら、人種やジェンダーなど様々な壁が多くの場所にまだ存在し、さらなる壁を作ろうとする人さえいます。だからこそ、ジェンダーによる障壁を排除した環境の中で、女性がすべての能力を発揮する体験ができるように設計された女性のための高等教育機関で学んだみなさんの活躍が重要になるのです。

 清泉女学院は、ただの女子大ではなく、カトリックの女子高等教育機関です。その学びの中心にあるものは、ひとことで言えば「愛」です。今年、2月に福者にあげられた高山右近の時代、新約聖書の言葉であるギリシャ語のアガペーは、誤解を招きやすい「愛」ではなく、「御大切」と訳されました。愛は「大切、大事にする」こころと言った方がたしかに分かりやすいでしょう。「敵を愛せ」と言われても、敵を好きになることは難しい。でも、たとえ、敵であっても、相手の存在を認め、その存在を大事にすることはできる。他者を愛することは、執着することではなく、大切にすることです。在学中、繰り返し学んだように、福音の重要なメッセージは、例外なく、すべての人、一人一人が、神から愛される、つまり、大事にされる、大切なかけがえのない存在であるということです。

 これからの人生では、予期せぬ不運に見舞われることもあるでしょう。考え抜いた正しい行いをしたために、かえって、不利益を蒙り、謂れなき非難を浴びるようなことが起こるでしょう。あてにした誰かに裏切られ、全世界から見放されたように思える時があるかもしれません。

 そんな孤立無援の絶望的状況に陥ることがあっても、大丈夫です。思い出してください。清泉の校舎に刻まれたラテン語の句を。たとえ、世界中があなたを無視したとしても、あなたをずっと見守っている、確かな存在があるのです。本学の校舎に刻まれているDOMINUS TECUM「神はあなたとともにいる」とは、そういう意味です。

 何故、いま、自分が生かされているのか、その不思議を思い、どんな時も、SURSUM CORDA「心を高くあげて」すべての過ぎ行くものの奥にあって、変わることのないなにかへ思いをはせて下さい。

 ここ、上野のキャンパスにおいて、他者とのかかわりの中で、それぞれのこころを育てたあなた方の笑顔が、傷ついた世界を癒し、平和を創りだしていくのです。

 21世紀のケアの文化を支え、世界をより善いものに変える皆さんを、本日、社会に送り出せることは、私たち清泉の教職員にとって、大いなる喜びであり、誇りです。

 どうか、これからも、清泉の卒業生として、本学の未来を支えて下さい。

 卒業生のみなさんの末永いご多幸と、社会でのご活躍役をお祈りするとともに、本日、ご列席のご家族、関係者の皆様へ、これまで本学にいただいた暖かいご支援を深く感謝申し上げて、式辞の結びと致します。

 ありがとうございました。

                     2017年3月11日

                     清泉女学院大学・短期大学

                     学長 芝山 豊

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