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キリスト教と現代
稲葉 景
大学名 清泉女学院短期大学
学部・学科 共通教育科目
開講キャンバス 上野 授業形態 講義
履修区分 選択 単位数 2単位
配当年次 1・2年 開講期
授業の概要

世界の人口の約3分の1はキリスト教徒で、そのうちの2分の1は本学の建学の精神のもととなっているカトリックである。キリスト教というよりも宗教そのものにあまりなじみのない日本人にとっては、「キリスト教=聖書」あるいは「祈り」のイメージがあるかもしれないが、宗教は生きているわたしたちの生活になかで「いかに生きるのか」という「ものさし」を示している。この授業では日本カトリック司教団『いのちへのまなざし』を読みながら、現代社会で起きているいのちに関する様ざまな問題を取りあげていく。キリスト教、特にカトリックにおいて、これらの社会問題を通して、キリスト教におけるいのちへのまなざしを理解したうえで、タニンゴトであった問題をジブンゴト、そしてワレワレゴトの課題としてとらえ、自分なりに課題を解決する方法を考えたり、意見を持つことができることを目指している。

学習到着目標

この科目は、共通教育の学習成果『視野の広さ』と『豊かな人間性』の習得を目標とする。具体的には、以下を学修成果とする。(1)社会問題への気付き:今まであまり考えることのなかった社会問題を理解し、自分なりの問題解決方法を考えることができる。(2)キリスト教的価値観の理解:キリスト教におけるいのちへのまなざしを理解することで、いのちの意味を深く理解することができる。

成績評価方法

毎回のリアクションペーパー・授業への参加度(45%)、レポート(55%)。

課題に対する
フィードバック方法

毎回提出されたリアクションペーパーに対して、次の回で教員からの回答・コメントを付す。

アクティブ
ラーニング要素
□外部連携の課題解決型学習(協定あり) ■ディスカッション・ディベート ■グループワーク □プレゼンテーション(発表) □実習・実技・実験 □フィールドワーク ■リアクションペーパー
授業計画
授業項目・内容 / 各回の準備学修(予習・復習)について / 担当
1 内容

オリエンテーション:建学の精神であるカトリック教会について概要を改めて確認し、カトリックという宗教がなぜ社会の具体的な問題に関して発信しているのかを理解する。

予復習

初回のため予習なし・授業内容の復習をして次回に臨むこと(準備学習0.5時間以上)

担当
2 内容

カトリックにおけるいのちへのまなざし:教科書『いのちへのまなざし』に基づきながら、まず教えの基盤となっている聖書のなかでいのちについてどのように描かれているのかを理解する。

予復習

前回の復習・『いのちへのまなざし【増補新版】』19~34頁を事前に読んで、提示された課題を考えてくること(準備学習1時間以上)

担当
3 内容

聖書からのメッセージ、生命操作と生命倫理:技術の進歩によって、いのちを技術的に操作することができるようになったことで起きた新しい倫理的な問題についてカトリック教会の姿勢を学ぶ。

予復習

前回の復習・『いのちへのまなざし【増補新版】』83~88頁を事前に読んで、提示された課題を考えてくること(準備学習1時間以上)

担当
4 内容

生と死の尊厳① 出生前診断と障がい:障がいと密接に関連する出生前診断、特に血液による出生前診断について解説し、その倫理的課題を理解したうえで、カトリックの見解からいのちの線引き、いのちは誰のものなのかを考える。

予復習

前回の復習・『いのちへのまなざし【増補新版】』89~94頁を事前に読んで、提示された課題を考えてくること(準備学習1時間以上)

担当
5 内容

生と死の尊厳② ヒト胚の操作:ヒト胚の操作の背景にあるいのちの価値化について考えることで、カトリックではいのちのはじめをどのようにとらえているのか、前回の問題と重ねて考える。

予復習

前回の復習・『いのちへのまなざし【増補新版】』95~100頁を事前に読んで、提示された課題を考えてくること(準備学習1時間以上)

担当
6 内容

生と死の尊厳③ 終末期医療:世界中で議論されている安楽死の現状と課題、日本の現状について学び、いのちのおわりの線引きについて考える。

予復習

前回の復習・『いのちへのまなざし【増補新版】』101~108頁を事前に読んで、提示された課題を考えてくること(準備学習1時間以上)

担当
7 内容

生と死の尊厳④ 脳死と臓器移植:日本における臓器移植の現状と課題を学び、人間の死(特に二人称の死)とは何かについて考える。

予復習

前回の復習・『いのちへのまなざし【増補新版】』109~115頁を事前に読んで、提示された課題を考えてくること(準備学習1時間以上)

担当
8 内容

生と死の尊厳⑤ 自殺/自死:日本における自殺の現状についてデータを分析しながら理解し、生きていること(生かされていること)の意味を考える。

予復習

前回の復習・『いのちへのまなざし【増補新版】』116~123頁を事前に読んで、提示された課題を考えてくること(準備学習1時間以上)

担当
9 内容

生と死の尊厳⑥ 死刑:世界の現状をデータを使いながら理解し、日本の死刑制度やその課題、日本の司法制度について考える。

予復習

前回の復習・『いのちへのまなざし【増補新版】』124~130頁を事前に読んで、提示された課題を考えてくること(準備学習1時間以上)

担当
10 内容

いのちを脅かすもの① 環境問題:特に気候変動問題について、教皇フランシスコ『ラウダ―ト・シ』を用いながら理解したうえで、私たちに何ができるのかについて考える。

予復習

前回の復習

『いのちへのまなざし【増補新版】』131~137頁を事前に読んで、提示された課題を考えてくること(準備学習1時・以上)

担当
11 内容

いのちを脅かすもの ②原子力発電:東日本大震災の事故について改めて考え、原子力発電に対するカトリックの立場を理解し、新しいエネルギーのありかたについて考える。

予復習

前回の復習・『いのちへのまなざし【増補新版】』138~144頁を事前に読んで、提示された課題を考えてくること(準備学習1時間以上)

担当
12 内容

いのちを脅かすもの ③格差と貧困:日本における格差の問題を具体的なデータを見ながら考え、貧困によって失われることを理解する。またカトリックで行っている支援を紹介しながら、これからの対策について考える。

予復習

前回の復習・『いのちへのまなざし【増補新版】』145~153頁を事前に読んで、提示された課題を考えてくること(準備学習1時間以上)

担当
13 内容

いのちを脅かすもの ④差別:歴史的に日本で行われている差別について理解したうえで、カトリックの目指す差別のない社会に必要なことは何かを考える。

予復習

前回の復習・『いのちへのまなざし【増補新版】』154~161頁を事前に読んで、提示された課題を考えてくること、レポートの準備(準備学習3時間以上)

担当
14 内容

いのちを脅かすもの ⑤戦争・暴力:21世紀までの戦争を歴史的に振り返り、キリスト教の歴史の中でどのように理解されてきたのか、現在の立場も含めて学ぶ。

予復習

前回の復習・『いのちへのまなざし【増補新版】』163~166頁を事前に読んで、提示された課題を考えてくること、レポートの準備(準備学習4時間以上)

担当
15 内容

まとめ:今まで取り扱っていた内容を改めて振り返り、カトリック教会ではいのちをどのようにとらえているのかを深く理解する。

予復習

今までの総復習

担当
16 内容
予復習
担当
準備学修
(予習・復習)時間

「各回の準備学修」項目を確認し、講義は4時間程度の予習・復習を奨励します。

教科書

日本カトリック司教団『いのちへのまなざし【増補新版】カトリック中央協議会

参考書・文献

日本聖書協会『聖書』(新共同訳・旧約続編つき)、必要に応じて紹介する。

履修条件

基本的なキリスト教の知識が必要なため、必修「キリスト教概論」を履修後に受講することが望ましい。

ICT活用 ■自主学習支援【manabaでの資料確認・アンケート調査】
実務経験
備考