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文学入門
玉城 司
大学名 清泉女学院大学
学部・学科 看護学科 共通教育科目、人間学部 共通教育科目
開講キャンバス 上野 授業形態 講義
履修区分 選択 単位数 2単位
配当年次 1年 開講期
授業の概要

この科目は、人を思い遣る「こころ」、「やさしさ」、「共感する力」を身につけることを目的とした授業です。古典と現代をつなぐ短編小説を読み、日本人が何を考えていたか、どんな人やものを好きになったか、それをどんな風に伝えたのか、現代にいたるまで、何が変わったのか、変わらなかったのか、人間の情愛とは何か等を考えてみます。音読して日本語の響きのうつくしさにふれた後、ことばの意味と機能、作品の構造を考察、その歴史的・文化的背景について考察し理解を深めます。

学習到着目標

日本人としての基礎教養を身につけます。自分たちのもつ文化遺産を知ることで、日本人が培ってきた美意識を知り、より深く人生を味わいます。わたしたちの「こころ」や「個性」は、日本語を核とする日本文化の伝統によって形成されてきました。日本語によって書かれた文学作品(散文・韻文)から、過去の人々の生き方学んで、恋愛の作法、交際の作法の仕方を養成します。

成績評価方法

授業への参加と意欲(40%)、レポート(60%)

課題に対する
フィードバック方法

テキスト(配布したプリント)を読んできてください。課題レポートや感想文や質問に対して、授業で活かすようにします。また授業中に出してもらった図表などについても、コメントします。

アクティブ
ラーニング要素
□外部連携の課題解決型学習(協定あり) ■ディスカッション・ディベート □グループワーク ■プレゼンテーション(発表) □実習・実技・実験 □フィールドワーク □リアクションペーパー
授業計画
授業項目・内容 / 各回の準備学修(予習・復習)について / 担当
1 内容

はじめに 日本文学作品に関する基本的調査と新聞・雑誌読解に関する基本的調査をする。漫画やアニメを含めたカルチャーも含めて、どんな文化によって自己形成してきたかを理解する。

予復習

「夢十夜」を自宅で音読する。気になる作品をピックアップする。

担当
2 内容

夏目漱石「夢十夜」を読む(交替して音読する)。

夏目漱石「夢十夜」を音読する。音読の仕方についても学ぶ。

予復習

気に入った作品を音読する。

担当
3 内容

漱石「夢十夜」の夢と古典文学にみる夢を比較する。日本文学・日本人の「夢」の歴史について、その概要をお話しする。

予復習

関心を持ったテーマについてまとめる。

担当
4 内容

漱石の俳句と「夢十夜」に出てきた蕪村の俳句を読んで、各自の思いを五・七・五で作成する。また、グループにわかれて、、女は待つ存在か、待たせる存在か、などのテーマを設定してグループごとに話し合い、発表する。

予復習

それぞれが作成した俳句とグループごとに作った作品を提出する。

担当
5 内容

古典作品『宇治拾遺物語』の良秀の話と芥川龍之介の「地獄変」を比較して読み、近代作家が古典から得たもの、捨てたもの、新しく加えたものを考え、人のこころの不思議さと恐ろしさについて考える。

予復習

グループごとに話し合い、発表する。また各自、話し合った内容を文章にまとめて提出する。

担当
6 内容

芥川龍之介「藪の中」を読む(交替して音読する)。音読の仕方については、内容と合致するような読み方を自ら創意工夫してもらうが、不十分な場合は優れた音読の仕方を学ぶ。

予復習

証言の違いを一目できるように表を作成してくる。

担当
7 内容

「藪の中」の証言を証言者の立場、状況などを押さえながら整理して、証言が食い違うのはなぜか、誰が真実を語っているかを考える。

予復習

前回の講義内容を自分なりにまとめておく.

担当
8 内容

「藪の中」の原話とされる「今昔物語集」を読み、何が加えられ、何を捨てたかを考える。近代人芥川の価値観と中世の価値観の違いについて、また事実はひとつでも、それぞれの「真実」が異なるのはなぜか、全体のまとめを兼ねて話し合って発表する。

予復習

「藪の中」について、話し合った結果と個人の見解をまとめてレポートを書く。「赤い蝋燭と人魚」を音読してくる。

担当
9 内容

小川未明「赤い蝋燭と人魚」を読む。(交替して音読する)。

予復習

アンデルセンの「人魚姫」を読んでくる。

担当
10 内容

日本の人魚伝説とアンデルセンの「人魚姫」と「赤い蝋燭と人魚」を比較する。

予復習

前回の講義内容を各自まとめておく

担当
11 内容

「赤い蝋燭と人魚」の悲劇はどこにあるか、子どもを犠牲にすること、富を得ること、伝承の呪力などの問題にしぼって、全体のまとめを兼ねて話し合って発表する。

予復習

連城三紀彦「恋文」を読んでくる。

担当
12 内容

連城三紀彦「恋文」を読む(交替して音読する)

予復習

登場人物の性格について分析する。

担当
13 内容

「恋文」の家族 男と女、子どもと突然現れた過去の恋人の存在について考える。

予復習

講義内容と自分の考えの相違を明確にしてくる。

担当
14 内容

「恋文」の結末について話し合った後、各自の意見をまとめる。

予復習

グループで話し合う。「恋文」について話し合ったことを踏まえて自分の意見を文章にする(準備学習時間4時間以上)

担当
15 内容

連城三紀彦「恋文」を読む。近代的な恋愛観について考える。

予復習

自分の意見と講義担当者、他の受講者の意見の相違をおさえて、人にとって優しさとは何か、家族とは何かをまとめる(準備学習時間4時間以上)

担当
16 内容

試験。授業でとりあげてきた作品について、自分の意見をまとめて提出する。

予復習

定期試験のための総復習

担当
準備学修
(予習・復習)時間

「各回の準備学修」項目を確認し、講義・演習は4時間(実技・実習は2時間)程度の予習・復習を奨励します。

教科書

プリントを適宜配布します。

参考書・文献

授業中、適宜紹介します。

履修条件

声に出して日本語の響きを知るために、文学作品を読む際には、音読します。受講者にも必ず音読してもらいます。受講生の関心度によって、進めて行くのでシラバス通りに進行しないことを前提に履修してください。

ICT活用
実務経験
備考