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歴史学入門
黒田 祐我
大学名 清泉女学院大学
学部・学科 看護学科 共通教育科目
開講キャンバス 上野 授業形態 講義
履修区分 選択 単位数 2単位
配当年次 1年 開講期 集中
授業の概要

この講義では、西洋史学の成立と発展、そして歴史学研究の現在の状況を概観しながら、各時代の歴史家や研究者が、歴史をどのように記述あるいは研究しようとしてきたのかをともに学んでいく。そして各講義後に提出してもらうコメント・シートを利用しながら、歴史を学ぶということの意味を把握し、歴史学の観点から現代世界の諸問題を考察する作法を修得することを目指す。

学習到着目標

1. 西洋の人びとが、どのように自らの生きている世界とその歴史を理解しようとしてきたのかを学ぶ。(歴史学という営みの把握)

2. 西洋の人びとの歴史認識と、我々の歴史認識との相違点を学ぶ。(アジアとヨーロッパの歴史に対する考え方の違いの把握)

3. グローバルに展開する現代世界の問題の背景を見定めることができるようになる。(現代的課題の発見・解決能力の獲得)

成績評価方法

①コメント・シートの内容(30%)(評価基準:的確に授業の内容を整理できているか。積極的に自らの疑問点を整理できているか)

②期末試験(70%)(評価基準:「歴史学とはどのような学問か?」という問いに対する、各自の意見が適切かつ説得的に述べられているか)

課題に対する
フィードバック方法

毎回、その時に学んだ内容と、自身の感想・疑問点をまとめたペーパーを提出してもらう。それに回答することで学生の本講義に対する理解が、より深まるように配慮する。

アクティブ
ラーニング要素
□外部連携の課題解決型学習(協定あり) □ディスカッション・ディベート □グループワーク □プレゼンテーション(発表) □実習・実技・実験 □フィールドワーク ■リアクションペーパー
授業計画
授業項目・内容 / 各回の準備学修(予習・復習)について / 担当
1 内容

導入 —歴史学とはどんな学問か?

暗記科目になりがちな日本史・世界史といった高校科目と、大学で学ぶ歴史学との違いについて理解する。

予復習

予習:これまで習った世界史の流れをおさらいしておく

復習:受けた講義で学んだ内容を整理する

担当
2 内容

世界史の時代区分

西洋史における古代、中世、近世、近代そして現代という時代区分が持つ意味を理解して、それぞれの時代の重要な出来事を把握する。

予復習

予習:事前に配布されたスライドに目を通しておく

復習:受けた講義で学んだ要点を整理する

担当
3 内容

地理区分が孕む問題 —ヨーロッパとは何か?

私たちが何気なく使っている「ヨーロッパ」や「西洋」あるいは「欧米」といった単語の成り立ちから、「ヨーロッパ」と「アジア」の違いを理解する。

予復習

予習:事前に配布されたスライドに目を通しておく

復習:受けた講義で学んだ要点を整理する

担当
4 内容

東洋と西洋、アジアとヨーロッパの境界の曖昧さ —イベリア半島

「ヨーロッパ」に区分される国のなかで最も「アジア」に近いスペインのたどった歴史と文化の概要を理解する。

予復習

予習:事前に配布されたスライドに目を通しておく

復習:受けた講義で学んだ要点を整理する

担当
5 内容

古代と中世の歴史観 —ギリシャ・ローマとキリスト教

西洋における古代と中世という時代に活躍した歴史家たちの歴史に対する考え方を把握して、その特徴を理解する。

予復習

予習:事前に配布されたスライドに目を通しておく

復習:受けた講義で学んだ要点を整理する

担当
6 内容

近世の歴史観 —ルネサンス・宗教改革・啓蒙時代

ルネサンス・宗教改革・そして啓蒙時代における歴史に対する考え方を把握して、その特徴を理解する。

予復習

予習:事前に配布されたスライドに目を通しておく

復習:受けた講義で学んだ要点を整理する

担当
7 内容

近代ヨーロッパに誕生した歴史学 —諸革命と国民国家

1789年のフランス革命を経て19世紀に誕生した「国民国家」という政治単位が持つ意味を理解し、またこの時代の歴史に対する考え方を把握して、その特徴を理解する。

予復習

予習:事前に配布されたスライドに目を通しておく

復習:受けた講義で学んだ要点を整理する

担当
8 内容

東洋と西洋、アジアとヨーロッパの境界の曖昧さ —バルカン半島

「アジア」に区分される国のなかで最も「ヨーロッパ」に近いトルコのたどった歴史と文化の概要を理解する。

予復習

予習:事前に配布されたスライドに目を通しておく

復習:受けた講義で学んだ要点を整理する

担当
9 内容

歴史学を変えたふたつの世界大戦

1914年から1945年頃のいわゆる「大戦間期」の西洋諸国で生じた大きな変化を把握して、その変化がもたらした歴史学への影響の大きさを理解する。

予復習

予習:事前に配布されたスライドに目を通しておく

復習:受けた講義で学んだ要点を整理する

担当
10 内容

新しい歴史学 —アナール学派とグローバルヒストリー

フランスの歴史学学界で生じた新しい歴史学、そして現在世界中で試みられている「グローバルヒストリー」という歴史学の最新動向を把握する。

予復習

予習:事前に配布されたスライドに目を通しておく

復習:受けた講義で学んだ要点を整理する

担当
11 内容

私たちに身近な歴史学① —環境問題

私たちの生活ときってもきり離せないトピックとして「自然環境」をとりあげて、これと人類の歩みとの密接なかかわりを理解する。

予復習

予習:事前に配布されたスライドに目を通しておく

復習:受けた講義で学んだ要点を整理する

担当
12 内容

私たちに身近な歴史学② —「コロンブス交換」の実態

1492年にコロンブスがアメリカ大陸に到達して以来、人間のみならず動植物や病原菌に至るまでの地球規模での移動が生じた。世界史に対するこのインパクトの大きさを理解する。

予復習

予習:事前に配布されたスライドに目を通しておく

復習:受けた講義で学んだ要点を整理する

担当
13 内容

私たちに身近な歴史学③ —塩と砂糖

私たちの生活ときってもきり離せない調味料である「塩と砂糖」をとりあげて、歴史のなかでこれらがどのようにして用いられ普及していったのかを理解する。

予復習

予習:事前に配布されたスライドに目を通しておく

復習:受けた講義で学んだ要点を整理する

担当
14 内容

私たちに身近な歴史学④ —お茶とコーヒー

私たちの生活ときってもきり離せない飲み物である「お茶とコーヒー」をとりあげて、歴史のなかでこれらがどのようにして用いられ普及していったのかを理解する。

予復習

予習:事前に配布されたスライドに目を通しておく

復習:受けた講義で学んだ要点を整理する

担当
15 内容

まとめと質疑応答

一連の講義の中で扱ってきたトピックとその要点を的確に整理しなおすことを通して、「歴史学とはどのような学問なのか?」を把握する。

予復習

予習:これまで学んだ内容を整理しなおし、疑問点を明らかにしておく

復習:期末試験に備えて、学んだ内容を整理しなおす

担当
16 内容

期末試験と解説

「歴史学とはどのような学問なのか?」という問いに対して自らの解答を述べる。

予復習

予習:期末試験の課題に対する自らの意見をまとめる

復習:各自、「歴史学とはどのような学問なのか?」を考える

担当
準備学修
(予習・復習)時間

「各回の準備学修」項目を確認し、講義・演習は4時間(実技・実習は2時間)程度の予習・復習を奨励する。

毎回、復習を兼ねてリアクションペーパーを提出するとともに、次回の講義内容について配布資料に目を通しておくこと。

教科書

用いない。講義はスライドとプリントを用いて展開される。

参考書・文献

小田中直樹『歴史学ってなんだ?』PHP新書、2004年; 羽田正『新しい世界史へ―地球市民のための構想―』岩波新書、2011年; 小田中直樹『歴史学のトリセツ―歴史の見方が変わるとき―』ちくまプリマ―新書、2022年などが参考となる。

履修条件

高校で学んだ世界史の流れをつかんでおくことが必要となる。各自で世界史の教科書をひととおり復習しておいてほしい。余裕があれば「参考文献」で挙げた文献に予め目を通しておくと、一層本講義で伝えたいことをよりよく理解できるであろう。

ICT活用
実務経験
備考