10274
自然科学概論
馬場 理
大学名 清泉女学院大学
学部・学科 看護学科 共通教育科目
開講キャンバス 上野 授業形態 講義
履修区分 選択 単位数 2単位
配当年次 1年 開講期
授業の概要

本科目名は『自然科学概論』だが、この言葉が本来意味する哲学的な側面を離れ、実生活に密着しかつ人類の将来に直接関わる科学技術や自然現象について紹介しつつ、私達の進むべき道を模索する。

現代社会は複雑化し様々な問題を抱えているが、直ちに解決しなければ人類の存亡に関わるものも含まれる。私達は膨大な情報の中から特に重要な課題を抽出し、地球上に生きる一人としてその課題解決に参画する必要がある。そのためには地球の未来を左右する科学技術や自然に関する最低限の知識を持つことが望ましい。本講義では理工・医学系、特に生活に密着した最新技術・環境・防災・健康を中心に学び、本講義を履修する仲間と共に情報を集め、討論し、人類が抱える課題を共に解決する意識を育てることを目標とする。

学習到着目標

身近な科学技術や自然に関する理解を深めると共に、クリティカルな考え方を習得して人類が直面する課題を解決する能力の涵養を目的とする。さらに世界の人々と手を取り合って互いに問題解決に邁進するため個人としてあるべき私達の姿を提言できるようにする。

成績評価方法

授業中に行う討論や発表の内容(約3割)・最終レポート(約7割)

課題に対する
フィードバック方法

各講義での課題はGoogle Classroomを通じて提出し、そこでの質問に答える形でフィードバックする。

アクティブ
ラーニング要素
□外部連携の課題解決型学習(協定あり) ■ディスカッション・ディベート ■グループワーク ■プレゼンテーション(発表) □実習・実技・実験 □フィールドワーク □リアクションペーパー
授業計画
授業項目・内容 / 各回の準備学修(予習・復習)について / 担当
1 内容

【自然科学とは何か/自然科学とキリスト教/自然科学の理解がなぜ必要か?】

自然科学の発展とキリスト教の関係を紹介し、「科学と宗教が相反するもの」という皮相的な見解を否定する。人類の問題解決の鍵を握る自然科学や科学技術の重要性を理解する。

予復習

講義中に指示された調べものは、必ず自分のデジタル機器の中に特定のフォルダを作成して整理・保存しておくこと。以降の講義でも同じ。

担当
2 内容

【超高輝度発光ダイオード 未来を拓く新しい灯り/音楽と動画を楽しむ 通信技術とエンタメ】

今やあらゆる場所に使われている超高輝度発光ダイオード(LED)の消費電力の少なさや演色の仕組みを実演する。また、モニタで動画を楽しむことができるのはなぜか、極力平易に解説する。

予復習

長野駅新幹線改札口前にあるプロモーション動画を流すモニタに近づいて光の点を観察してみると良い。

担当
3 内容

【交流モーターの普及とインバーター/省エネと新しいクルマ】

中学校理科では直流モーターを学習するが、現在では制御性・保守性・環境特性に優れた交流モーターが幅広い分野で使われている。その仕組みを、実演を交えて紹介する。

予復習

通学に使う電車や、自宅のハイブリッド自動車の発進時・停止時に発する「音」に耳を澄ますと良い。

担当
4 内容

【繰り返し使える電池 充電池の展望と課題】

電池の原理の復習から始め、リチウム充電池などについて学習する。省資源に貢献する充電池だが普及に伴う新たな国際的課題も浮上。その解決法の模索と併せ紹介する。

予復習

自分のスマホを使い続けた場合、どのくらいで電池の充電レベルが低下し再充電が必要になるかを把握しておくと良い。

担当
5 内容

【新エネルギーと発電・充電/そもそもなぜ電力なのか】

2次エネルギーとして使われるのがなぜ電力なのか、その必然性を復習する。環境負荷の低い自然エネルギーの問題点や我が国のエネルギー事情の確認と併せ、最適なエネルギー源を模索する。

予復習

中学校で学習した電池の原理を復習しておくと良い。また、自宅の電力契約が何アンペアまでなのかを把握しておくと良い。

担当
6 内容

【超電導が身体の中を覗く 医療と先端技術】

健康と長寿への飽くなき欲求は医療と先端技術を結びつけてきた。X線写真からMRI断層撮影やAIロボットに至るまで、その概略を紹介する。

予復習

自分や家族が病院に行った時、どのような検査をしたか把握しておくと良い。

担当
7 内容

【感染症 古くて新しい人類の宿敵 そして新たな課題】

人類の歴史は感染症との闘いに明け暮れた。ワクチンや抗菌薬を開発し人類は感染症に勝利したかに見えたがそれは幻影であった。人類と感染症の攻防を振り返り、未来を展望する。

予復習

母子健康手帳に記載された自分のワクチン接種履歴を把握しておくと良い。

担当
8 内容

【ワクチンとアレルギー 身を守る免疫学の知識】

人類は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行開始から1年以内に病原体の正体を突き止めワクチンを開発した。ワクチンの考え方を人間の免疫系の働きと併せて学ぶのを目的とする。

予復習

新型コロナ感染症(COVID-19)の毎日の新規感染者・死亡者数の経時的変化を復習しておくと良い。

担当
9 内容

【新しい生命の創造? ゲノム編集とその課題】

遺伝子の仕組みを復習し、「遺伝子組み換え」や「ゲノム編集」の意味を理解する。ゲノム改変をもたらす技術の概略やその利点、そして倫理的課題について議論する。

予復習

既に使われている「遺伝子組換え作物」にはどんな種類のものがあるかを調べておくと良い。

担当
10 内容

【巨大災害…日本が避けられない巨大地震・破局噴火の脅威】

日本列島には地震や噴火が頻発するが、その活動がなければ豊かな生物相も、そして我が国そのものも存在しない。巨大災害の歴史を顧み、脅威と恵みは表裏一体であることを理解する。

予復習

1847年善光寺地震について、高校生までに習ったことを思い出しておくと良い。また長野県内(隣県との境界含む)にある〝活火山〟をリストしておくと良い。

担当
11 内容

【巨大災害を生き抜く知識と体制作り】

日本は繰り返し災害に襲われる一方、数多くの防災情報がウェブ上で利用できるのでその一部を紹介する。また、災害国として社会をどのように改変するべきかを議論する。

予復習

自分が今まで経験したり見聞きした自然災害についてまとめておくと良い。また、その際にどこから情報を得たのかを把握しておくと良い。

担当
12 内容

【人類存亡の危機 地球温暖化】

温暖化は虚構ではなく現実の脅威であり、温暖化が止められない場合の破局を理解する。さらにこの惑星に生きる一個人として何を為すべきかを議論する。

予復習

『地球温暖化はデマだ』と主張する人の根拠を調べておくと良い。

担当
13 内容

【信州独立大作戦その1 日本および長野県の状況を調べる】

私達が将来にわたって幸福に生きるためには日本がおかれた状況を正確に把握しなければならない。日本及び長野県に関する諸データ収集を実践する。

予復習

一日の生活を振り返り、〝私達が何を使い、何を食べ、何をやったか〟をリストできると良い。

担当
14 内容

【信州独立大作戦その2 長野県は〝独り立ち〟できるか?】

前回収集した基礎データを元に、日本、および長野県に足りないものを抽出し、そこから将来に必要なものを考える。

予復習

13回目の講義で調べたデータを見返した上で、改めて1つ上の『各回の準備学修(予習・復習)について』を考え直すのが良い。

担当
15 内容

【迫り来る脅威 我々はどう生きるべきか? 人類の未来を拓く「考え方」の話】

人類がこのままの生き方を続ければやがて破綻するが、ではどのように優先順位を付け解決を目指せば良いのだろう?そのためには必要な思考法を用い、解決への道筋を模索してみよう。

予復習

他の講義で学んだ「クリティカルシンキング」について思い出すと良い。

担当
16 内容

【最終レポート】

講義の冒頭で示された課題についてレポートを書き提出する。

予復習
担当
準備学修
(予習・復習)時間

「各回の準備学修」項目を確認し、調べておくのが良い。GoogleClassroomで予習・復習を提示されることもあるので確認しておくこと。

教科書

適宜参考資料を提示する。

参考書・文献

伊勢田哲治 他編 「科学技術をよく考える―クリティカルシンキング練習帳」(名古屋大学出版会)

E.B.ゼックミスタ他「クリティカルシンキング 入門編」(北大路書房)

履修条件

特にないが、講義にはインターネット接続が可能なスマートフォン・タブレット、あるいはPCを持参すること。

ICT活用 ■双方向型授業【対面型授業におけるデータ収集および発表】
■自主学習支援【GoogleClassroomを用いた課題提示および回答】
実務経験
備考