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日本国憲法
関 良徳
大学名 清泉女学院大学
学部・学科 看護学科 共通教育科目
開講キャンバス 東口 授業形態 講義
履修区分 選択 単位数 2単位
配当年次 1年 開講期
授業の概要

①私たちの身のまわりに生じている様々な法律問題を解決するために,関係する法律(憲法、民法、刑法、少年法、裁判員法など)についての知識を習得するとともに,それぞれの法律が抱える問題点について検討を行う。さらに,毎回の授業で例題や応用問題を示し,受講生によるディスカッションを通じて解決を導く。②講義形式の授業の他に,模擬裁判形式の授業に参加する。このタイプの授業では,実際の事件等をとり上げた検討事例について受講生が弁護士や検察官の立場から弁論を行うとともに,裁判官役の受講生が判決を導くことになる。

学習到着目標

①私たちの日常世界で生じている法律問題とその背景について理解する。②それぞれの法律問題について,いかなる法律によって,どのような取組みがなされているかを理解する。③現在の法制度や法的対応が抱えている問題点を指摘し,自分なりの解決を導く。④討論等を通じて,実際の事件や今日直面している法律上の諸問題について深く考える。

成績評価方法

①グループ討議への参加貢献度(10%),講義内レポート(50%),最終試験(40%)で成績評価を行う。②授業内での討論に積極的に参加する受講生を評価する。

課題に対する
フィードバック方法

模擬裁判形式の授業に関わる講義内レポートについては,講義時に返却し解説を行う。

アクティブ
ラーニング要素
□外部連携の課題解決型学習(協定あり) ■ディスカッション・ディベート ■グループワーク ■プレゼンテーション(発表) □実習・実技・実験 □フィールドワーク ■リアクションペーパー
授業計画
授業項目・内容 / 各回の準備学修(予習・復習)について / 担当
1 内容

個人の尊厳と自己決定権:憲法13条で定められた個人の尊厳とそこから導かれる自己決定権について,事例を通じて考える。具体的には,女性の自己決定権,自己決定権を支える成年後見制度,現代社会におけるAIと自己決定権との関係性について検討を行う。

予復習

初回の予習は不要だが,講義内で示される検討事例①(模擬裁判事例)についての課題プリントにより準備学習を進めること。

担当
2 内容

消費生活における契約の自由と立法・行政・司法の役割:経済活動の自由を保障するとともに,安全・安心な消費生活を確保するために定められた約款制度について学習する。さらに,消費トラブルに対応した法制度(借地借家法や住宅品質確保促進法など)について事例を通じて理解する。

予復習

講義内で示す事例問題について自ら調べ,次回授業時までに自分なりの解答を準備すること。

担当
3 内容

消費者保護のための立法・行政・司法の役割:消費者契約法にかかわる複数の事例を取り上げて,法適用による解決を考える。具体的には,不当な免責条項を定める契約の事例や不当な違約金を定めた契約について,裁判事例をもとに公平な解決を導くための演習を行う。

予復習

次回授業で扱う検討事例①について,割り振られた立場(原告側弁護士・被告側弁護士)にしたがって課題シートを仕上げてくること。

担当
4 内容

医療場面での個人の尊厳にかかわる事例の検討(模擬裁判):妊婦による宗教的理由での輸血拒否事件を題材に,受講生が妊婦側弁護士,病院側弁護士,裁判官の各役割にわかれて審理を行う。応用事例として,保護者が宗教的理由から子どもの輸血を拒否して死亡させた事例を検討する。

予復習

模擬裁判を通じて学んだ内容を課題シートに記入してくること。さらに,応用事例についても解決策を記入してくること。

担当
5 内容

家族法と法の下の平等:明治憲法下における家制度と現行憲法下の家族法とを比較し概説する。さらに,今日の家族法が抱える諸問題(夫婦同姓制度,再婚禁止期間,同性婚問題など)について検討し,憲法14条の観点から今後の家族制度の在り方について考える。

予復習

講義内で示される検討事例②(模擬裁判)についての課題プリントにより準備学習を進めること。

担当
6 内容

児童虐待と子どもの人権及び行政の役割:児童虐待防止法と児童相談所の役割について概説を行ったうえで,子どもの人権を守るための法制度を学習する。特に,欧米の児童虐待防止政策における家庭裁判所の役割や,児童への権利教育の重要性について理解を促す。

予復習

講義内で示す事例問題について自ら調べ,次回授業時までに自分なりの解答を準備すること。

担当
7 内容

子どもの人権と少年法の役割:少年法が定める犯罪少年の定義やその処遇について,犯罪白書等を用いて学習する。さらに,これまでの少年法改正の過程や近年の改正について説明を行い,少年の更生や人権保障,被害者の人権などについて考えを深める。

予復習

次回授業で扱う検討事例②について,割り振られた立場(原告側弁護士・被告側弁護士)にしたがって課題シートを仕上げてくること。

担当
8 内容

子どもの人権にかかわる事例の検討(模擬裁判):少年事件についての記事の中で少年の氏名や顔写真を掲載した事例について,少年側弁護士と出版社側弁護士にわかれて審理を行い,判決を導く。特に,表現の自由・言論の自由・出版の自由の意義とその限界について検討を深める。

予復習

模擬裁判を通じて学んだ内容を課題シートに記入してくること。さらに,近年の少年法改正について自らの見解を記すこと。

担当
9 内容

犯罪と刑罰にかかわる人権保障:刑法と刑事訴訟法について概説したうえで,憲法の適正手続条項について理解する。刑法では罪刑法定主義などの基本原則を学び,刑事訴訟手続では警察・検察の役割と取調の可視化,証拠裁判主義,推定無罪原則,検察審査会,刑務所改革などを学ぶ。

予復習

講義内で示される検討事例③(模擬裁判)についての課題プリントにより準備学習を進めること。

担当
10 内容

裁判員制度と司法の役割:裁判員制度が導入された背景から,司法権の独立との関わりについて説明を行った後で,制度の仕組みと陪審制・参審制との相違点について概説する。さらに,長野地裁での傍聴について紹介するとともに,裁判員制度が抱える問題点についても検討を行う。

予復習

講義内で示す課題について自ら調べ,次回授業時までに自分なりの解答を準備すること。

担当
11 内容

医療にかかわる法の役割と安楽死・尊厳死:インフォームドコンセントを基軸に医療場面での法の役割や医療訴訟について概説する。さらに,日本における尊厳死や安楽死の現状を法制度の観点から解説し,積極的安楽死の正当化要件を裁判事例から考える。

予復習

次回授業で扱う検討事例③について,割り振られた立場(弁護士・検察官)にしたがって課題シートを仕上げてくること。

担当
12 内容

医療に関係する犯罪事例の検討(模擬裁判):ALS患者殺害事件を題材に,殺人罪を主張する検察側と承諾殺人罪を主張する弁護側にわかれて裁判を行う。判決後,この事件の後に起こった事件についても紹介し,ALS患者とその介護の問題について検討を深める。

予復習

模擬裁判を通じて学んだ内容を課題シートに記入してくること。特に,ALS患者と人工呼吸器,さらに介護の問題について自らの見解を論じること。

担当
13 内容

子の出生に関わる法の役割:母体保護法にもとづく人工妊娠中絶及び出生前診断の問題から,胎児の人権や障碍者の人権について解説する。さらに,代理出産,卵子提供・精子提供の法的問題と親を知る権利などの新たな人権についても検討を行う。

予復習

講義内で示す課題(DNAによる親子関係の確定と親子間の法的問題)について自ら調べ,次回授業時までに自分なりの解答を準備すること。

担当
14 内容

労働にかかわる人権保障と立法・行政・司法の役割:労働三権や労働基本法から憲法の定める勤労の義務と権利について説明する。特に,働き方改革後の労働状況と過労死問題,職場におけるハラスメントの問題,リストラ解雇の問題について,裁判事例の検討を演習形式で行う。

予復習

講義内で示す課題(長時間労働と賃金に関わるブラック企業の問題)について自ら調べ,次回授業時までに自分なりの解答を準備すること。

担当
15 内容

憲法による人権保障についての総括的な説明:これまでの授業で取り上げてきた様々な人権を憲法の枠組みの中に再定位し,体系的な理解を促す。さらに,基本的人権は国民主権や平和主義を土台として成立していることを確認し,主権者としての自覚や医療者としての平和貢献を促す。

予復習

講義内で示す課題(医療者としての平和貢献の在り方)について自ら調べ,次回授業時までに自分なりの解答を準備すること。

担当
16 内容

定期試験

予復習
担当
準備学修
(予習・復習)時間

「各回の準備学修」項目を確認し、講義・演習は4時間(実技・実習は2時間)程度の予習・復習を奨励します。

毎回の授業で課される課題に取り組んで下さい。

教科書

毎回の講義でレジュメ及び資料を配付する。

参考書・文献

『ポケット六法 令和5年度』(有斐閣)

『論点 日本国憲法[第二版]』(東京法令出版)

履修条件

①授業時間外の学習として,講義で与えられた課題について考える以外に,出来るだけ新聞に目を通すこと。②授業計画の各テーマは,時事的な問題状況の変化に応じて順序や内容を変更する場合がある。

ICT活用 ■遠隔授業【covid-19の状況に応じてzoomでの遠隔授業を行う場合がある。】
実務経験
備考