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専門演習ⅠH(不開講)
田村 俊輔
大学名 清泉女学院大学
学部・学科 心理コミュニケーション学科 専門教育科目
開講キャンバス 上野 授業形態 演習
履修区分 必修 単位数 2単位
配当年次 3年 開講期
授業の概要

学生は、心理的現象を「言葉」を通して調査・理解する質的研究の流れを追いながら、「言葉」をデータとして分析する研究に関する理解を深めます。また、基礎理論の修得のために、フロイトやユングの基本概念をしっかりと理解するための文献を解説を交えながら読みます。この基礎理論の枠組みを前提として、最新のナラティブ研究の解読・理解をしていきます。この演習においては、伝統的心理学とポストモダンの新しい心理学の理論とその背後にある人間観を踏まえて、民俗学や昔話・民話研究の分野における物語・語りの研究と心理学の統合を各受講生は試みていきます。

学習到着目標

伝統的な精神分析、深層心理学、そして、認知心理学の理論的基礎の理解を第一の目標にします。この基盤に立って、近年の社会構成主義をはじめとするナラティブ研究の基本の理解を目標とします。最終的に、昔話や物語に含まれるナラティブの分析を使って、昔話や創作童話の物語ばかりではなく、あなたの周囲にいる人が語る物語を通じての心理・人間理解の方法の理論的基礎の習得を目標とし他者尊重の精神の実現を目標とします。

成績評価方法

(1)課題の報告(40%)、(2)授業での発表(30%)、(3)日常の授業関与(30%) 以上3点を示された比率で総合的に評価する。

課題に対する
フィードバック方法

少人数の演習ですので、毎時間のグループワークやプレゼンテーションに対しての口頭のフィードバックを行います。また、課題の報告に対しては文章・口頭でのフィードバックを行います。7つの力ルーブリックアンケートによって、各自の学習目標到達状況の自己評価を行います。

アクティブ
ラーニング要素
□外部連携の課題解決型学習(協定あり) ■ディスカッション・ディベート ■グループワーク ■プレゼンテーション(発表) □実習・実技・実験 □フィールドワーク □リアクションペーパー
授業計画
授業項目・内容 / 各回の準備学修(予習・復習)について / 担当
1 内容

物語と心理学の関係:「遠野物語」にみられる心理という言葉を使わない心理学

予復習

柳田国男の「遠野物語」から、人間の心理を類推するという見方を復習しておいてください。今学期の演習でたびたび出てくる考え方です。

担当
2 内容

語りの心理学:ナラティブ、語ることの意味をまずまとめます。ここでは、理論というより、日常的な出来事を通して、ナラティブの理解をしていきます。

予復習

ナラティブ、語りという皆さんにとっては耳慣れないかもしれない概念をこの授業の内容を参考にまとめてください。(準備時間1~2時間)

担当
3 内容

深層心理学の基礎 1:フロイトと神話 精神分析の基本的概念おさらいと、フロイトが用いた神話からのモチーフと心理の関係についての概要の把握をします。

予復習

フロイトの基本概念の予習をしておいてください。この数時間を使って古典的な精神分析、深層心理の概念の見直しをします。プリントの予習をしてください。

担当
4 内容

深層心理学の基礎 2:ユングと元型 フロイトの考え方とユングの考え方は似ているようで異なり、異なっているようで相互補完的な部分もあります。この回では、ユングの基本概念と元型を扱います。

予復習

ユングの基本的な概念の予習をしておいてください。

担当
5 内容

深層心理学の基礎 3:日本における研究① フロイト派の分析家の物語分析を読みましょう。

予復習

フロイト派分析家の研究のプリントを読んでおいてください。(準備時間4時間)

担当
6 内容

深層心理学の基礎 4:日本における研究② ユング派の物語分析を使った研究を紹介します。ヘンデルとグレーテルを通して、ユングの重要な概念である退行、元型、セルフ等の理解をしていきます。

予復習

ユング派の研究者のプリントを読んでおいてください。

担当
7 内容

可能世界の心理学 :J.ブルーナーのナラティブという概念から、認知革命とナラティブ研究を通して、心理学のポストモダンの潮流をたどります。

予復習

Actual Minds and Possible Worldsという言葉の「複数形」が持つ意味を吟味しながらブルーナーの考え方をまとめる。(準備時間4時間)

担当
8 内容

日本におけるナラティブ研究 1:アメリカや北欧で起こったナラティブの研究が、日本に入り、過去20年の間(特にこの数年間)に発展してきました。日本におけるナラティブの研究の概要をまとめます。

予復習

ナラティブ研究の作品のうちから1編を読んで、授業で発表する準備をしてください。

担当
9 内容

日本におけるナラティブ研究 2:ナラティブの研究のうち各自が1編読んで授業で報告をします。この回では代表的な作品の解説をします。やまだようこ、北山修等。

予復習

ナラティブ研究の作品のうちから1編を読んで、授業で発表する準備をしてください。(準備時間4時間)

担当
10 内容

日本におけるナラティブ研究 3:各自のナラティブ研究の報告をしてください。報告に対しては担当者よりのアドバイスがあります。この課題を出発点として、各自が自分の興味分野を少しずつ特定していきます。

予復習

発表の準備をしてください。受講者の人数にもよりますが、一人10分以内のプレゼンテーションをするように計画してください。

担当
11 内容

ナラティブと社会構成主義という世界観と人間観:ここまでの授業のまとめをします。ナラティブの背後にはわたしたち人間が持つ「語る」という特徴があり、これが人間を一人ひとりユニークな「個人」にしていることを心理学とナラティブを通して理解しましょう。

予復習

この回の授業は皆さんがノートを取りながら、これまでの復習をしてください。ノートはチェックしますので、不明な点等があればその旨記入してください。

担当
12 内容

物語の心理的な分析 1:続く3回の授業では、実際の物語(メルヘンや昔話、人の語り)等の分析を扱います。この回は物語分析を「発達研究」に応用します。

予復習

もう一つの課題として「物語分析」があります。分析1,2,3の授業から、自分自身のテーマを選定し、分析計画を立ててください。

担当
13 内容

物語の心理的な分析 2:人間関係、特に「親子関係(母と娘)」の理解のための物語分析を行います。

予復習

「物語分析」テーマを決めてください。そのテーマに沿って、問題と目的を文章化してください。

担当
14 内容

昔話の心理的な分析 3:人間関係、特に「集団における人間関係」の理解のための物語分析行います。

予復習

「物語分析」の方法を書いてください。参考文献があれば、その研究で使われた方法論を参考にしてください。

担当
15 内容

まとめと発展:この演習は専門演習Ⅱに継続していますので、今学期のまとめとともに、演習Ⅱへの移行の道筋を示します。最終回には7つの力ルーブリックアンケートを実施します。

予復習

最終課題を進めてください。今回が最後の授業ですので、課題に関してのアドバイスが必要な場合には申し出てください。進捗状況は簡単に報告してください。

担当
16 内容
予復習
担当
準備学修
(予習・復習)時間

「各回の準備学修」項目を確認し、講義・演習は4時間(実技・実習は2時間)程度の予習・復習を奨励します。

教科書

配付プリント:概要に示した分野の基本的な文献のプリント配布。

参考書・文献

荒木正見「人格発達と癒し」ナカニシヤ出版、 やまだようこ「喪失の語り」新曜社、北山修「悲劇の発生論」金剛出版、ジェローム・ブルーナー「可能世界の心理学」みすず書房、 ベッテルハイム ブルーノ「昔話の魔力」評論社、「質的心理学研究」各号

履修条件

毎回の授業で扱う文献を読んでおくことが大切です。興味深い文献が多いので楽しんで読んでください。しかし、難しい文献もあるので、「難しい!」と思ったら遠慮なく申し出てください。

ICT活用 ■自主学習支援【学内ポータルを使用して課題等の読み物を提示します。】
実務経験
備考