22012
心理学概論
田村 俊輔
大学名 清泉女学院大学
学部・学科 心理コミュニケーション学科 専門教育科目
開講キャンバス 上野 授業形態 講義
履修区分 必修 単位数 2単位
配当年次 1年 開講期
授業の概要

心理学の研究対象は「人間のこころ」ですが、この対象に関しては様々な見方があり、その相違が心理学の歴史を作ってきたと言ってもよいでしょう。心理学者たちは、心理学を「科学」と位置付けて、「科学」にしようと試みてきました。科学は英語ではScienceという言葉があてられます。この言葉はラテン語ではScientia、「物事を知る」という意味です。心理学はこの知り方に「自然科学」の客観的な方法論を取り入れようとしてきたのです。この概論を通して、受講者は、心理学が導入しようとした「物事を知る」方法から入り、歴史の中で起こった変遷の概要を理解していきます。その理解を基礎にして、現在、多くの分野に分かれた心理学の理解をしていきます。

先ずは、心理学は「科学」でしょうか?という問いを心に、心理学の簡単な歴史を振り返ってみましょう。また、心理学が目指すモノは何か?を考えていきましょう。

学習到着目標

心理学の源流から、心理学の方法論的な特徴を理解することを第一の到達目標とし、そのうえで、精神分析をはじめとしたパーソナリティ心理、行動主義、認知主義の流れをたどりながら、それぞれの学派が持つ人間観の違いを理解することを第二の到達目標とします。その理解を基盤として受講生自身が自己及び他者理解に向けて心理学にアプローチできるようになり、心理学を他者尊重の素地にすることを最終の到達目標とします。

成績評価方法

最終試験又はレポート(40%)、短い内省記録・ブックレポート等複数回(40%)、授業への関与<リアクション・質問・コメント>(20%)3点の総合で評価をします。

課題に対する
フィードバック方法

リアクションペーパーについては適宜、授業時間内でコメントします。。

アクティブ
ラーニング要素
□外部連携の課題解決型学習(協定あり) □ディスカッション・ディベート □グループワーク □プレゼンテーション(発表) □実習・実技・実験 □フィールドワーク ■リアクションペーパー
授業計画
授業項目・内容 / 各回の準備学修(予習・復習)について / 担当
1 内容

心理学概論で扱うこと:心理学という分野についての概説を行いながら、この学期に扱う事項の紹介をします。

予復習

心理学者の原典のプリントの予習には4時間程度、毎回の授業プリントの復習とまとめには2時間程度あててください。

担当
2 内容

心理学の知について:わたしたちが心理的現象を知る際に様々な知り方がありますが、そのうちで、客観と主観、及び、科学的知と実存的知という概念を通して、心理学の役割を考えていきます。特に、尺度を使った測定(量的研究)と意味の分析(質的研究)

予復習

この授業から「知る」ということに敏感になってください。「量と質」の違いの理解をしましょう。

担当
3 内容

心理学黎明期:精神物理学という流れの解説と歴史的な意味についての授業となります。ウェーバーとフェヒナーが行った人間の感覚の計測というテーマを扱います。

予復習

授業プリントの復習とまとめをしてください。特に、ウェーバーとフェヒナーの実験の理解をしましょう。

担当
4 内容

心理学の成立過程の概観:ヴントは心理学の祖として、その名前は知られていますが、何をした人?と言われるとあまり知られていません。2時間をかけて、この時期にヴントによって築かれた基礎の解説をします。

予復習

前もって桑田芳藏の「民族心理学」のプリントを配布します。熟読しておいてください。読みにくいものですが、ヴント理解にはよい研究書です。

担当
5 内容

ヴントの実験心理学と民族心理学:二つの互いに異なった心理学が同一人物のなかで併存していた事情とそれが、それ以降、どのような心理学の道筋、歴史を築く基盤になったかというところに焦点をあてましょう。

予復習

桑田の後半を読んでください。

担当
6 内容

科学としての行動主義:行動主義という心理学を科学として捉えようとした流れを追います。科学として心理学をとらえるために方法論として対象を「行動」に限ったところに特徴があります。

予復習

B.F.スキナーの著作のうち一番思想的なものでBeyond Freedom and Dignity<自由と尊厳を超えて>の一部分を読んでください。

担当
7 内容

行動主義から認知主義:行動主義が優勢な時代に認知革命が起こり、認知心理学が起こってきた道筋を追っていきます。2~3コマの時間でこれら二つの学派を扱いますので、かなり、忙しくなりますが、興味深い研究がたくさん出てきます。

予復習

授業プリントの復習とまとめをしてください。特に、行動主義の複数の学者に関しては、その特徴をまとめてください。

担当
8 内容

認知心理学の位置づけと研究:認知(Cognitive Psychology)心理学という心理学が生まれた理由と、その心理学の流れから誕生した興味深い心理学者とその研究をみていきます。

予復習

認知心理学の実験や理論を整理しましょう。授業プリントを参考に、各自で調査してみましょう。

担当
9 内容

もう一つの科学としての精神分析:精神分析というフロイトがその基礎をつくった分野の科学としての位置づけと、基本的な概念を紹介します。ここでも、心理学の流れの中で捉え、理解していけるようにしましょう。

予復習

フロイトの基本的な概念をまとめてください。授業プリントを参考に、各自で調査してみましょう。

担当
10 内容

精神分析の基本としての無意識と発達:フロイトの無意識とトラウマ、発達という見方についての解説をします。字義の理解・記憶ではなく、メカニズムの理解を試みましょう。授業も、皆さんにフロイトが見た心の仕組みを伝えられるよう計画します。

予復習

フロイト発達観と無意識とトラウマのメカニズムをまとめてください。授業プリントを参考に、各自で調査してみましょう。

担当
11 内容

フロイトのヒステリーと夢:フロイトの研究のうち「ヒステリー研究」又は「夢判断」を扱います。年によって、どちらか片方になります。

予復習

「ヒステリー研究」又は「夢判断」の一部をプリントで配布しますので、読んでください。

担当
12 内容

精神分析と分析心理学:ユングとフロイトの比較を通して、両者の違いと相補的な関係を見ていきましょう。ユングは、日本では比較的受け入れられている心理学者ですので、興味がある人はさらなる調査をしてください。

予復習

ユングの無意識に対する見方と元型という概念の理解をするために、授業プリントを復習して、簡単な課題に対する答えをまとめてください。

担当
13 内容

精神分析と自我心理学:精神分析の枠組みの中で「自我」に焦点をあてた心理学を扱います。特に防衛機制等フロイトから始まって、そののちに、多くの心理学者が理論の精緻化を行ってきた事項を扱います。

予復習

アンナ・フロイトの「自我と防衛」の一部を読んでください。

担当
14 内容

アイデンティティ:近年のアイデンティティ観はエリクソンがその出発点を示してくれたところから発展しています。いくつかの異なった見方と、その応用の仕方を扱います。

予復習

エリクソンの「幼児期と社会」のプリントを読んでください。

担当
15 内容

心理学の応用:現在の心理学の状況をレビューしていきます。

予復習

自己分析をしてみよう。エリクソンを応用して自己分析の簡単な課題を出します。

担当
16 内容

物語分析

予復習

最後の授業では物語の心理的分析の方法を扱いますので、該当の物語をよく読んでおいてください。

担当
準備学修
(予習・復習)時間

「各回の準備学修」項目を確認し、毎週4時間程度の予習・復習を奨励します。特に、配布プリントは読んでおいてください。

教科書

教科書は使用しませんが、そのテーマごとにプリントを用意しますので、読んでおいてください。

参考書・文献

授業内で指示します。

履修条件

特になし

ICT活用 ■自主学習支援【学内ポータルサイトに関連資料を掲載】
実務経験 ■実務経験の内容【特になし】
■所持している業務関連資格【特になし】
備考