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社会・集団・家族心理学Ⅱ(家族心理学)
生井 裕子
大学名 清泉女学院大学
学部・学科 心理コミュニケーション学科 専門教育科目
開講キャンバス 上野 授業形態 講義
履修区分 選択 単位数 2単位
配当年次 3年 開講期
授業の概要

家族心理学とは、システム論に準拠して家族を捉える学問である。すなわち、家族を一つのシステムとして捉え、家族内外の様々なシステムとの関係から、家族を理解しようとするものである。この授業では、家族の関係性について、家族システム論の観点から理解を深めていく。また、家族のライフサイクルにおいて、家族システムが変化する時には危機が生じやすいことを理解し、家族を支援するという観点から家族療法の理論や技法を学ぶ。また、家族システムを理解するための補助として、ジェノグラムの書き方を身につける。

学習到着目標

・家族システム論の観点から家族を捉えることができる(論理的思考力)

・家族の危機やライフサイクルについて理解を深め、家族療法の理論や概念をもとに対処法を考えられる(課題発見力)

成績評価方法

期末テスト(40%)、ミニレポート2つ(30%)、リアクションペーパー(30%)により評価する。

課題に対する
フィードバック方法

リアクションペーパー、ミニレポートに関しては授業内で適宜フィードバックを行う。期末テストについては授業内で解説する。

アクティブ
ラーニング要素
□外部連携の課題解決型学習(協定あり) ■ディスカッション・ディベート ■グループワーク □プレゼンテーション(発表) ■実習・実技・実験 □フィールドワーク ■リアクションペーパー
授業計画
授業項目・内容 / 各回の準備学修(予習・復習)について / 担当
1 内容

ガイダンス

本授業の概要と到達目標について理解する。

予復習

復習:この授業を通じて学びたいこと、関心のあることについてリアクションペーパーにまとめ、提出する

担当
2 内容

家族心理学とは

家族心理学における家族の定義や、ファミリーアイデンティティについて学ぶ。

晩婚化、非婚化、同性婚等、社会の変化の中で家族がどのように変化しているかを理解する。

予復習

復習:ファミリーアイデンティティについて、身近な例を通して理解を深める。(参考文献第1章)

担当
3 内容

システム論について(1)

家族システム論における家族の捉え方を学び、家族の構造を理解する鍵概念(サブシステム・境界・階層/パワー・連合)について理解する。

予復習

復習:授業で扱った4つの鍵概念について、身近な例を通して説明できるようにする。(参考文献第2章)

担当
4 内容

システム論について(2)

家族システム論における家族の捉え方を学び、家族の発達を理解する鍵概念(ライフサイクル・ストレス・形態維持/形態発生)について理解する。

予復習

復習:授業で扱った3つの概念について、身近な例を通して説明できるようにする。(参考文献第2章)

担当
5 内容

システム論について(3)

家族システム論における家族の捉え方を学び、家族の発達を理解する鍵概念(自己分化・三角関係化・公平さと忠誠心)について理解する。

予復習

復習:授業で扱った3つの概念について、身近な例を通して説明できるようにする。(参考文献第2章)

担当
6 内容

家族のライフコース(1)

配偶者選択から親になり、子育てをするまでのライフコースを概観する。

家族システム論の観点からみた発達課題と、課題への対処について理解する。

予復習

復習:配偶者選択から子育てに至る発達課題について、家族システム論の概念から説明できるようにする。(参考文献第3-6章)

担当
7 内容

家族のライフコース(2)

子どもの独立から中年期危機、老年期に至るまでのライフコースを概観する。

家族システム論の観点からみた発達課題と、課題への対処について理解する。

予復習

復習:子どもの独立から老年期に至る発達課題について、家族システム論の概念から説明できるようにする。(参考文献第7−8章)

担当
8 内容

家族のコミュニケーション

家族の機能を特徴づけるコミュニケーションについて、問題のあるコミュニケーション(ダブルバインド/悪循環)を学び、解決志向アプローチについて理解する。

予復習

復習:身近な例を用いて、ダブルバインド/悪循環を説明できるようにする。(参考文献第13章)

担当
9 内容

家族療法とは(1)

家族療法について複数の代表的なアプローチを学ぶ。家族との関係づくりを行う技法(ジョイニング、多方面への肩入れ)及び肯定的側面に注目する技法(リフレーミング)を理解する。

予復習

復習:身近な例に活用することを通じ、授業で学んだ3つの技法について理解を深める。(参考文献第9章)

担当
10 内容

家族療法とは(2)

家族療法の実際について、不登校の子を持つ家族に対する家族療法の動画視聴を通じて学ぶ。

予復習

復習:動画視聴を通じて、家族療法の理論や技法が実践においてどのように生かされているか、具体的に理解する。

ミニレポート(準備学習時間2時間程度) 

担当
11 内容

子育てにおいて生じやすい問題とその支援

子育てに関わる問題(育児不安、虐待)を概観し、家族システム論の観点から問題を理解する。その上で、具体的な親支援や子育て支援について学ぶ。

予復習

復習:身近な例を用いて、子育てに関わる問題を家族システム論の観点から説明できるようにする。(参考文献第11章)

担当
12 内容

夫婦関係の危機とその支援

夫婦関係において生じやすい危機や葛藤について概観し、家族システム論の観点から問題を理解する。その上で、カップル・セラピーについて学ぶ。

予復習

復習:身近な例を用いて、夫婦関係に関わる問題を家族システム論の観点から説明できるようにする。(参考文献第10章)

担当
13 内容

ジェノグラム演習

ジェノグラムの書き方について学び、家族の構造や多世代の関係性を把握する利点について理解する。演習やミニレポートを通じて学びを振り返る。

予復習

復習:ジェノグラムの書き方を理解し、自分自身でジェノグラムを作成できるようにする。(参考文献第2章)

ミニレポート(準備学習時間2時間程度)

担当
14 内容

家族内の性役割(ジェンダー)の問題とその支援

家族の中で期待される性役割と、それに由来する問題(ケアの担い手、力関係、育児参加等)について理解する。その上で、ジェンダーセンシティブな心理療法について学ぶ。

予復習

復習:身近な例を用いて、家族内の性役割に関わる問題に対するジェンダーセンシティブな心理療法の利点を説明できるようにする。(参考文献第14−15章)

担当
15 内容

期末試験

予復習

復習:試験に向けて、これまでの学習内容を理解する。(準備学習時間4時間以上)

担当
16 内容

期末試験返却と解説

期末試験の解説を行う。

予復習

復習:解説をもとに自分の回答を修正し、再度提出する。

担当
準備学修
(予習・復習)時間

「各回の準備学修」項目を確認し、講義・演習は4時間(実技・実習は2時間)程度の予習・復習を奨励する。

教科書

教科書は特に指定しないが、授業時に資料を配布する。

参考書・文献

中釜洋子・野末武義・布柴靖枝・無藤清子(著)『家族心理学ー家族システムの発達と臨床的援助 第2版』(有斐閣ブックス、2019年)2,750円

履修条件

「臨床心理学概論」の授業を履修済みであることが望ましいが、「家族」を多様な角度から理解することに関心があれば、履修は可。

ICT活用 ■双方向型授業【Google Formを用いてリアクションペーパーを提出し、授業内で適宜フィードバックを行う。】
■自主学習支援【Google Classroomに講義資料を掲載する。予習として配布資料は授業前に読んでおくことを推奨する。】
実務経験 ■実務経験の内容【教育領域における心理支援(13年)】
■所持している業務関連資格【公認心理師・臨床心理士】
備考