23684
道徳教育の理論と方法
田村 俊輔
大学名 清泉女学院大学
学部・学科 心理コミュニケーション学科 専門教育科目
開講キャンバス 上野 授業形態 講義
履修区分 選択 単位数 2単位
配当年次 2年 開講期
授業の概要

日本の義務教育における「道徳教育の歴史の概観と理解」、「青少年の現状と道徳に関係する問題」、「青少年の心と道徳性発達」の理論的な理解を基盤において、学習指導要領に沿った道徳教育の実践を学ぶ。道徳教育の実践に関しては、道徳教育の内容を具体的な授業における模擬的な指導を通して学んでいく。受講生は各自の調査に基づいた現実の道徳的課題を設定し、その課題に対処するのに適した道徳の内容項目と教材を設定し、その教材を使った模擬授業を行いながら、体験的に道徳教育の方法を学ぶ。この体験的な学習を通して、道徳における「評価」の意義と実施に際しての注意点を明らかにしていく。この授業を通して、「道徳」が小中学校で行われている他の教科と異なり、一般的な知識や技術を学ぶ教科ではなく、わたしたち個人個人が、個別に判断・決断し、行動するという特殊性から「責任」が生じてくる人間特有の営みであることの理解にまで到達したい。

学習到着目標

道徳教育は道徳の時間のみならず、学校活動全体を通して、生徒に「よりよく生きる」ことを自発的に考えさせ、実践に導くことを目標とする。具体的には、生徒が、自分自身を含め、他者との関係を通してわたしたちの憲法の中核にある「個人の尊重」に含まれる意味の重要性を学び、他者尊重に沿った行動が出来るようになるよう導ける教師の育成を到達目標とする。また、教師としての教育における課題発見力の育成を目標とする。

成績評価方法

学生に対する評価:以下の3点の総合により評価する。

道徳教育内容にかかわる小テスト 30%、道徳教育の歴史又は(及び)道徳性発達の理論に関するレポート 30%、教材発掘と模擬授業(含むレポート) 40%

課題に対する
フィードバック方法

1.学習指導要領の道徳にかかわる部分の理解

2.事前配布資料の熟読

アクティブ
ラーニング要素
□外部連携の課題解決型学習(協定あり) ■ディスカッション・ディベート □グループワーク ■プレゼンテーション(発表) □実習・実技・実験 □フィールドワーク □リアクションペーパー
授業計画
授業項目・内容 / 各回の準備学修(予習・復習)について / 担当
1 内容

道徳とは?アリストテレスの倫理学から現代の心理学までの概観を通しての「道徳」

予復習

アリストテレスの倫理学から「道徳」が目指すことに関する考えをまとめ、文章で表現する。

担当
2 内容

道徳教育の歴史 1:2回の授業で戦後日本における道徳教育の歩みをまとめていきます。この歴史から、わたしたちが義務教育で扱っている道徳教育の方向性の理解をし、その方向性と道徳の方向性の確認をします。

予復習

2回の授業で、戦後の道徳教育の流れを理解し、その方向性を確認します。1~3回までの授業での配布プリントを使って、この流れを把握すること。(準備時間4時間)

担当
3 内容

道徳教育の歴史 2:平成27年度の学習指導要領一部改正による「特別の教科 道徳」学習指導要領における道徳の位置付けの確認を行い、これから学ぼうとする道徳教育の内容と方法についての概要を示します。

予復習

3回目の授業後半は、この3日間に扱った道徳教育の流れに関して、学生の意見を聞きますので、各自がしっかりと復習しておいてください。

担当
4 内容

日本の青少年の現状と心の成長 1:現代の若者の現状を把握するために、この数年で起こった問題を出発点として、受講者全員で、この現状に道徳教育ができることに関する意見交換をします。

予復習

調査データの読み方および実際のデータの解釈に基づいての意見交換をします。調査結果の読み込みをしておいてください。

担当
5 内容

日本の青少年の現状と心の成長 2:社会学や心理学のデータからみる若者の心の問題の概観をします。この作業から浮かび上がってくる青少年に対する道徳教育とはどのようなものか、を問うていきます。

予復習

データから見る若者の心の問題について、日常生活の中から、日ごろのニュースから例を拾い出して、メモを作ってください。

担当
6 内容

道徳性発達の理解:道徳観と道徳の研究の概観を行い、道徳性心理学に基づいた道徳理解を提示します。

予復習

道徳性の理論の理解:プリントをしっかりと読んでおくこと。

担当
7 内容

道徳性発達の応用:発達的な道徳観をはじめ複数の道徳性に対する見方の理解に基づいた道徳教育を考えます。

予復習

道徳性の理論の理解:自分自身の理解を文章に表現すること。

担当
8 内容

道徳教育の内容 1:中学校道徳教育の内容項目を、4つの柱のもとに集約された道徳の内容項目を検討しながら見ていきます。これらの内容項目をそれぞれ「徳」の形で表現されていますが、「徳」と「道徳」に関する理解を試みます。

予復習

道徳の内容項目の理解をするために小テストをしますので準備をしてください。(準備時間4時間)

担当
9 内容

道徳教育の内容 2:上記道徳の内容項目の現実の問題への応用を試みます。道徳は極めて現実的、実用的なものであることを実感するとともに、道徳を身近なものとして捉えられるような方向性を出すように努力します。

予復習

一つ一つの内容「徳」の理解をするために、それぞれの内容に具体的な道徳行為、道徳的な問題等の例を当てはめる作業を課題として出します。

担当
10 内容

教材研究 1:教材と授業の目標 授業の目標をしっかりと見据えた教材の選定を行うことと、豊富な種類の教材を使用しての道徳教育についての授業です。

予復習

授業の目標を定め、教材を探す。

担当
11 内容

教材研究 2:教材の種類と指導方法について明らかにしていきます。教材の種類によって指導方法も異なってきます。目標にあった教材、そして、その教材にあった指導方法といった観点から考えていきましょう。

予復習

授業の目標を定め、選択した教材を使って最終の模擬授業プレゼンの準備を始める。

担当
12 内容

道徳教育の実践 1:学校全体での道徳教育と道徳の時間の指導案

予復習

学校全体の活動を通しての道徳教育とその指導案の作成に関するプリントを読んでおくこと。その中で、教師の役割を理解しておくこと。

担当
13 内容

道徳教育の実践 2:具体的な目標をもった指導案の作成を行います。そして、指導案の中に組み入れられる評価の観点についての検討を行います。

予復習

模擬授業の指導案を作成し、模擬授業の準備をする。。(準備時間時6時間)

担当
14 内容

模擬授業 1:学生は、各自10分ほどの模擬授業を行います。模擬授業では「何」を「どのように」指導し、その結果をどのように「評価」するかの観点を意識的に取り入れるようにします。

予復習

他の学生の模擬授業に接したのちに、互いに建設的な意見を交換すること。

担当
15 内容

模擬授業 2:まとめとして、前回から今回にかけて行われた学生の模擬授業の振り返りを行いながら、「道徳教育」とは何か?そして、生徒がよりよく生きることに、お互い、個人の尊重を実現するために道徳教育の役割は何かを考えていきます。

予復習

各自の模擬授業の自己評価を行う。文章で報告をする。

担当
16 内容
予復習
担当
準備学修
(予習・復習)時間

「各回の準備学修」項目を確認し、講義・演習は4時間(実技・実習は2時間)程度の予習・復習を奨励します。

教科書

文部科学省『中学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編』平成29年7月

参考書・文献

現在日本の小中学校で使用されている「特別の教科 道徳」の教科書はすべて大学の図書館にありますので、ご覧ください。

履修条件

この科目は、中学校教職免許を取得するために必修となる道徳教育の研究ですが、教職課程に属していない人でも、道徳性の発達や道徳教育に興味を持っている人は履修できます。

ICT活用 ■自主学習支援【学内ポータルの担当者のフォルダーに授業概要、資料を公開します。】
実務経験
備考