30111
こころと文化
田村 俊輔
大学名 清泉女学院大学
学部・学科 文化学科 専門教育科目
開講キャンバス 上野 授業形態 講義
履修区分 必修 単位数 2単位
配当年次 2年 開講期
授業の概要

文化学科1年次春学期の必修科目として、受講生は「こころ」と「文化」の間にある相互作用の具体的事例の検証と考察を行い、文化を学ぶ上での基盤を身につけていきます。先ず、「こころ」と「文化」二つの言葉の定義をしておきます。「こころ」とは?「わたし」と自分を意識する自意識と仮に定義しておきましょう。「文化」とは?英語ではCultureとつづります。Cultivate「耕す」が語源ですから、「わたし」が介入して耕し、創ったモノの総体が文化とざっくりと定義しておきましょう。この科目は、わたしたちの「こころ」が「文化」を創造してきたと同時に、「文化」がわたしたちの「こころ」を創ってきたという世界観を基盤としています。受講生は、こころと文化を、先ず、心理学の枠組みを使って理解していきます。そのうえで、これまでの、文化人類学、社会学、心理学、文化心理学等で研究されて、一般的に受け入れられてきた複数の文化論を「こころ」と「文化」という2つの視点から理解します。この科目を通して、受講生は「こころと文化」の理論的枠組みを学ぶとともに、この枠組みを通して、日常の事象を客観的かつ現実的に理解、解釈できる批判的なこころの習慣を身につけていきます。

学習到着目標

第一に「こころと文化」の理論的な理解を授業を通して達成します。小テストと毎回の授業に対するリアクションペーパーで理解度の確認をしていきましょう。第二に、これまでに書かれた文化論を読み、内容の理解をします。これは、ブックレポートを通して達成度の確認をします。そして、第三に、「わたしの文化論」を各自が書くことにより、積極的な文化学の入り口に立ち、文化における課題発見力を育成することを目標にします。

成績評価方法

1.ブックレポート:「こころと文化」 40%、2.レポート:「わたしの文化論」30%、3.授業:<授業関与とリアクションペーパー等>30% 以上3点の総合評価をします。

課題に対する
フィードバック方法

1.小テストと毎回の授業に対する批判的なリアクションペーパーにコメントを返します。2.「文化論」を読み、それに対するブックレポートを課題とします。このブックレポートに対してのフィードバックを個別に行います。3.最終課題である「わたしの文化論」に対してのフィードバックは個別に行います。

アクティブ
ラーニング要素
□外部連携の課題解決型学習(協定あり) □ディスカッション・ディベート □グループワーク ■プレゼンテーション(発表) □実習・実技・実験 ■フィールドワーク ■リアクションペーパー
授業計画
授業項目・内容 / 各回の準備学修(予習・復習)について / 担当
1 内容

「こころ」と「文化」を通して何を知ろうとしているのか:「こころ」も「文化」も日常的に使用される言葉ですが、その意味はと問われれば、それほど自明な意味を持つものではありません。第1回目の授業では、この「こころ」と「文化」がどこから発しているかを問います。

予復習

各回の準備学習の概要を挙げます。

「わたしの確認」の課題をしてください。

担当
2 内容

「こころ」はどのようにしてできてきたのか1:「こころ」は人間に特有なものであるということを心理学、古人類学、宗教を通して理解していきます。受講者は自分自身のこころを内省する作業をします。

予復習

「個人主義」と「星の王子様」を通して「わたし」を考え、表現する練習をします。「星の王子様」の該当部分を読んでおいてください。(準備時間4時間)

担当
3 内容

「こころ」はどのようにしてできてきたのか2:「こころ」はわたしたちの言語を通して確認できます。英語の「冠詞」を使って「こころ」が人間特有であること、そして、そこから文化が生まれてきたことを解説します。皆さんは、そのこころを自身の中で確認してください。

予復習

英語の「冠詞」を使って「こころ」の性質を考えてみましょう。誰もが英語で習った「冠詞」について、知っていることをまとめておいてください。

担当
4 内容

「こころ」はどのようにしてできたのか3:心理学が示してくれる「こころ」に関しての概説をします。わたしたちの「こころ」がどのようにできてきたのかに関する複数の考え方を確認しておきましょう。

予復習

心理学の理論に沿った「こころの立ち上がり」に関する参考資料を読んでおいてください。

担当
5 内容

ブックレポート1:「こころ」についての課題文献の解説(心理学)「こころ」に関するまとめと、その「こころ」と「文化」の関連を扱います。

予復習

第一のブックレポートの課題を読んでください。この課題では「こころ」が立ち上がるとはどのような事かを考えていきます。(準備時間4時間)

担当
6 内容

「文化」の普遍性と特色1:この回から「文化」に焦点を移します。「こころと人間関係」を扱った日本文化論を複数扱います。

予復習

甘えについての資料を、読み、日本の文化の中にある甘えとその甘えが人間関係の中にどんな影響を残しているかを考察してください。(準備時間2時間)

担当
7 内容

「文化」の普遍性と特色2:「こころと社会」を扱った日本文化論の概説をします。受講生は、この概説を参考に日本文化の特徴を日常生活の中で見つけるよう指導されます。

予復習

日本の社会についての配布資料を読み、日本社会の特徴と自分自身の日常から関連する例を見つけてください。

担当
8 内容

「文化」の普遍性と特色3:「こころと国家」日本の文化論の中より国家観に関連があるものを扱います。

予復習

日本国憲法の指定部分を読みましょう。そして、この憲法の部分がわたしたちの「こころ」と「文化」にどんな意味を持っているかを考えておいてください。

担当
9 内容

ブックレポート2:「文化論」についての課題文献の解説(文化人類学)をします。「こころと文化」に関するまとめと、文化論の役割と影響に

予復習

第二のブックレポートは「文化論」を課題として出します。

担当
10 内容

「こころと文化」応用編1:個人主義と集団主義という視点より各自が自分自身で日本の文化と国の在り方を考えていく素地を固めていきます。

予復習

日常的な日本語表現に敏感になりましょう。いくつかのこころを表現する日本語表現を採集してもらいます。

担当
11 内容

「こころと文化」応用編2:自然宗教と一神教の概説をします。皆さんは、自分自身が持っている信仰の種類と特徴を意識することで宗教とこころと文化の3点を結んでいきます。

予復習

身の回りの宗教的な習慣や行事等についてのリサーチをしてください。

担当
12 内容

「こころと文化」応用編3:ナラティブ(語り)とこころと文化の3点を結んで「こころと文化」の理解を試みます。

予復習

この回に扱うナラティブと物語に関するプリントを熟読しておいてください。

担当
13 内容

「こころと文化」物語分析を通してこころを知る

レポート:「わたしの文化論」を書こう

予復習

自分自身の問題意識に基づいたテーマを探す。

担当
14 内容

こころと文化―わたしたちが生きる現代の日本が持つ課題1:これまでの学びをつかってわたしたちの社会に抜きがたくある「いじめ」に対しての理解と解決への試みをしましょう。

予復習

いじめに関する資料を読むことと、この問題をこれまでに学んだ「こころと文化」を参考に理解する。

担当
15 内容

こころと文化―わたしたちが生きる現代の日本が持つ課題2:日常の問題を「国家と個人」という視点からの分析を試みましょう。

予復習

国家と個人の関係において課題となることがあるかについての考察をする。

担当
16 内容

「こころと文化」で学んだこととわたしたちの日常

予復習
担当
準備学修
(予習・復習)時間

「各回の準備学修」項目を確認し、講義・演習は4時間(実技・実習は2時間)程度の予習・復習を奨励します。

教科書

毎回の授業前にプリントを配布します。

参考書・文献

1.マイケル・コール「文化心理学」新曜社、2002、2.ケネス・ガーゲン「現実はいつも対話から生まれる」ディスカバー・トウェンティワン、2018、3.内海健「さまよえる自己:ポストモダンの精神病理」筑摩選書、2012.

履修条件

文化学科1年生の必修ですので、すべての1年生が履修してください。

ICT活用 ■自主学習支援【学内ポータルを使って事前の資料提供をします。】
■遠隔授業【問題提起をする際に、複数のメディアを使用します。】
実務経験
備考

2022年度生まで