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芸術文化論【現代アート論】
山貝 征典
大学名 清泉女学院大学
学部・学科 文化学科 専門教育科目
開講キャンバス 上野 授業形態 講義
履修区分 選択 単位数 2単位
配当年次 2年 開講期
授業の概要

この科目は、20世紀美術史を中心とした現代美術表現の動向を理解することを目的とした授業である。現代美術の表現は今日でもダイナミックに変化し続けているが、いわゆる「現代アート」は現代「の」アートとどう違うのか、美術の王道である絵画や彫刻の伝統的表現は消滅してしまうのか、などの問いを掘り下げ理解する。本授業では、印象主義の名の元ともなった、クロード・モネによる1872年の油彩画作品「印象、日の出」を現代美術の出発点と見立て、そこからつながる20世紀美術(現代アート)の変遷を学習する。

学習到着目標

20世紀以後の「現代美術」を題材にし課題発見力を養いながら、主たる作家名や作品名、用語や年代、表現方法や素材などを理解する。時には難解とされがちな現代美術の作品・世界をよく知り、体系づけて他者へ伝達できるような論理的思考力を身につける。

成績評価方法

毎回書きためていくリアクションペーパーを通じての授業参加姿勢度=15%、中間課題=15%、期末試験=70%の割合で評価します。

課題に対する
フィードバック方法

リアクションペーパーによる感想や質問を翌週の授業で取り上げ、コメントをし、理解を深める。

アクティブ
ラーニング要素
□外部連携の課題解決型学習(協定あり) ■ディスカッション・ディベート □グループワーク □プレゼンテーション(発表) □実習・実技・実験 □フィールドワーク ■リアクションペーパー
授業計画
授業項目・内容 / 各回の準備学修(予習・復習)について / 担当
1 内容

イントロダクション〜モネ「印象、日の出」を起点として:いわゆる現代美術には『これが作品なのか?どこがアートなのか?』と思わずにはいられない作品もある。モネを起点として進める授業の流れを、授業概要進行のイメージとともに学ぶ。

予復習

使用テキストの概要、今後の授業全体の流れについてイメージしておくこと

担当
2 内容

現代アート、20世紀美術の特徴を理解するために、古典から続く美術史全体の流れについておさらいし、どのような流れで現代に至るのかを理解する。

予復習

配布した年表を元に20世紀美術の流れについて振り返る

担当
3 内容

ポスト印象派、新印象派:現代美術の流れの中で、印象派に続いて登場する新印象派およびポスト印象派について、代表的な作家や作品を鑑賞し、つながりや違いを理解する。

予復習

ポスト印象派、新印象派の特徴について振り返る

担当
4 内容

フォーヴィスム(野獣派):美術は「美しい術」と書くが、美しくない美術(作品)、美しいと言い切れないものもある。マティスやルオー、ヴラマンクなどのフォーヴィスムの画家の特徴を理解する。

予復習

フォービスムの特徴について振り返りる

担当
5 内容

キュビスム/立体派:現代美術史上における重要な作品《アヴィニヨンの娘たち》を通じて、キュビスムを生み出したパブロ・ピカソの活動や作品の特徴について学ぶ。

予復習

キュビスムの特徴について振り返る

担当
6 内容

抽象絵画のはじまり:現代美術鑑賞時につまずく1つの要因である「抽象絵画」について、その父とも呼ばれているカンディンスキー作品の特徴や意義について理解する。

予復習

抽象絵画の概念について振り返る

担当
7 内容

現実のようで現実でない表現:現代美術では、うまいか下手かの基準を当てはめないで鑑賞することがあり、またその視点も欠かせない。キルヒナーなどの青騎士の作品から、その鑑賞態度を学ぶ。

予復習

中間課題を課すので、これまでの復習も含めて取り組む(準備学習4時間以上)

担当
8 内容

反芸術、レディメイド:現代美術史上最も重要なものの1つとされるマルセル・デュシャンによる1917年の作品《泉》の概要と、そのねらいやその後の影響について習得する。

予復習

反芸術の概念について振り返る

担当
9 内容

デ・ステイル、自己表現ではないアート:新造形主義を掲げたピエト・モンドリアンは、自己表現ではないアートをつくりだした。どのような表現で、なにを意味しているのか学ぶ。

予復習

デ・ステイル、新造形主義について振り返る

担当
10 内容

シュルレアリスム/超現実主義:ルネ・マグリット、サルバドール・ダリらが構築したシュルレアリスムの作品の特徴や、その制作上の特徴などを理解する。

予復習

シュルレアリスムの概念について振り返る

担当
11 内容

アメリカで起こった抽象表現主義:ヨーロッパからアメリカに舞台の中心を移すことになる現代美術における、ジャクソン・ポロックをはじめとする抽象表現主義の起こりとその作品概要について学ぶ。

予復習

抽象表現主義について振り返る

担当
12 内容

ポップアート、消費されるイメージ:大量生産や消費社会、マスメディアなどの大量に流通するイメージをモチーフとして取り上げ表現したアンディ・ウォーホルらのポップアートについて理解する。

予復習

ポップアートについて振り返る、定期試験の概要について解説

担当
13 内容

美術館から飛び出したアート:特別な人しかアートに触れることがない閉ざされた「美術館」という制度へ疑問も含む、大きすぎる作品や、即興的でゲリラ的な作品の持つ現代性について理解する。

予復習

美術館から飛び出したアートについて振り返る

担当
14 内容

現代美術のゆくえ〜額縁のない絵画/台座のない彫刻:膨大に多様化する現代美術の作品を前にして、どのような表現を鑑賞し感じ取っていけばよいのかを理解する。

予復習

額縁のない絵画、台座のない彫刻とはどのようなものか振り返る

担当
15 内容

定期試験

予復習

定期試験のため総復習(準備学習4時間以上)

担当
16 内容

試験返却と解説

予復習

不明な点や間違えたところを確認し、確実に身につける機会とする

担当
準備学修
(予習・復習)時間

「各回の準備学修」項目を確認し、講義・演習は4時間(実技・実習は2時間)程度の予習・復習を奨励します。

課題やレポート提出が必要な場合はそれらに取り組み、また最終のテストに向けて常に授業内容の理解を深めるための学習時間が必要となる。

教科書

藤田令伊『現代アート、超入門!』集英社新書、2009

参考書・文献

美術手帖編集部 編著『現代アート事典 モダンからコンテンポラリーまで』美術出版社、末永照和監修『カラー版 20世紀の美術』美術出版社、アメリア・アレナス著・川村記念美術館監修・福のり子訳『なぜ、これがアートなの?』淡交社

履修条件

特になし。

ICT活用 ■双方向型授業【映像資料を活用し、作品鑑賞や分析を行う】
■自主学習支援【GoogleクラスルームやEメールを活用し、資料配布や課題の提出、コメント提出・添削を行う】
実務経験 ■実務経験の内容【美術館で学芸員としての勤務経験あり】
■所持している業務関連資格【学芸員、美術検定1級(アートナビゲーター)】
備考

2023年度生より 現代アート論