学長メッセージ - 2015年度 卒業式式辞
別品の大学
人は他者の幸せへの関与を通じて幸福感を得ることが最近の脳科学などによって証拠づけられています。他者の痛みを感じることができなければ、真の幸福は手に入りません。清泉女学院大学・短期大学が「こころを育てる」大学を標榜する意味もそこにあります。
「こころ」と対をなすことばは「かたち」です。かたちは見えますが、こころは見えません。「大切なものは、目に見えない」のです。スペインに源をもつ本学設立母体、聖心侍女修道会のシスターたちが、過酷な疎開生活の後、長野市に居を構えてから今年で70年になります。
本学は、その精神を引継ぎ、地域唯一のカトリック高等教育機関として、社会と地域に貢献して参りました。見えるものを通して、見えないものにこころを向け、地域の暮らしに深く根をおろし、学知と本当の優しさに裏打ちされた知恵によって、世界をより善いものに変えていく。
そんな女性たちを世に送り出す大学として、多くの卒業生と支援者に支えられ、小規模校ながら、「かたち」のみの格付けを超えた、活力と気品に満ちた、別格、別品の大学であり続けたいと思います。
みなさまが清泉での学びに加わられる日を楽しみにお待ちしております。